2019年買ってよかったもの(2020年もよろしくお願いします)
初めてJupiterに来たのが2018年12月11日とかだったみたいなので、木星住いになってから早一年が経ちました。
その間、1st やコレスポンディングの論文が出たり、お手伝いした共著論文が出たり、それなりに業績にはなったような一年でした。あと、アメリカでようやく遺伝子改変マウス作るのをルーチンでできるようになったので仕事はこれから本格的に進みそうです。
最近は、実験の合間だったりにResearchat.fmを聞いています。東大でしばらく技術指導したときの縁で知り合った方が参加してるってのもあるんですけど、単純に面白いので
で、2019年に買ってよかったものっていうのをやっていたので、僕も書き残しておこうかと。と同時に、3月に諸事情で一度日本に帰る予定なのですが、また買い込んで持って行こうと思っているのを列記します。
1. 折り畳み式の孫の手
もう一位は圧倒的にこれ。一人暮らしなので背中をかいてくれる人はいないのだよ
2. 100均の耐熱皿、ふた
食器は耐熱プラスチックのもので十分なんだよね。誰かくるわけでもないし。レンジ用のふたあると、ラップ節約できて便利。アメリカのレンジ、デフォルトは1000Wなので不安でしたけど、別に大丈夫でした(W数の調節もできる)
3. ユニクロのエアリズム
アメリカン洗濯機・乾燥機にもよく耐えてくれて、助かってます。Florida、1月でも25℃とかあるので、これは必須
ユニクロ|AIRism(エアリズム)商品一覧|MEN(メンズ)|公式オンラインストア(通販サイト)
4. 相模屋「おだしがしみたきざみあげ」
食材ではまずこれ。自炊するんですけど、出汁がしみてるので加えるだけでいい感じの味になるし、みそ汁以外にも結構使えます。個人的にはオートミールおかゆにいれるのが良いです。今回もスーツケースに詰めれるだけ詰めてきます。
あとは・・・これと言ってないです。
というか、輸送コスト考えると現地で買った方が安いんですよね。電化製品に関しては、特にアメリカで買った方が安いです。ウォルマート行くと大型のテレビが数万円くらいで売ってますし。それに日本の規格合わないものも多いですし。
電池で動く3000円くらいの体重計と血圧計以外は、今は日本の家電使ってないですね。
なんかとりとめなくなりましたが、2020年もよろしくお願いします。
動物学特論
顕微鏡とスマフォのアダプター
タイトルのままですが、アメリカに来てから気軽に写真撮れる顕微鏡が無くて困ってたので、スマフォを接続するアダプターを探してました。
結果としては、器具側に小さなリレーレンズのついた安いやつを買うことに。
20ドルもしない顕微鏡とスマフォつなぐやつ、写真きれいにとれますよ pic.twitter.com/YyvfzWpyMs
— トクロンティヌス (@jyouhou_syusyu) October 28, 2019
写真、普通に撮れるのでこれでいいかな。
買ったのはこれです。25ドルになってた(買ったときは何かもっと安かった気がするけど、ギフト券とかあったのかも)
スマフォの機種や顕微鏡で合わないのがreviewで紹介されているので、よく読んだ方がいいです。少なくともニコンのSMZには合いません。
ただ、前にも書きましたけど、ニコンの実体顕微鏡だけは合わないので、ニコンメインの人は違うの探したほうがいいです
— トクロンティヌス (@jyouhou_syusyu) October 28, 2019
またちょくちょく更新します。
追記:
教えてもらったので、日本のAmazonのページも貼っときます
https://www.amazon.co.jp/dp/B07CG5BTDJ/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_hPLTDb78Y4YC9
PowerPointで文字をアウトライン化する方法と、2B
Florida生活も3ヵ月が過ぎて、だいぶ落ち着いてきました。ちょっと溜めていた仕事も少しずつ片付けていこうと思います。
さて、表題のPowerPointで文字をアウトライン化して、一文字ごとに拡大したり、文字幅をつめたりする方法を書き留めておきます。
#PowerPointアートの描き方 PowerPointでの文字のアウトライン化と変形。PowerPoint2013しか持ってないので、それ以外のだともっと簡単にできるのかも pic.twitter.com/xFn80AMpma
— トクロンティヌス (@jyouhou_syusyu) June 14, 2019
文字と図形を重ねて、その図形と文字を図形の結合ツールの「切り出し」を使うことで、文字を図形に変換することができます(文字はどんなフォントでも可)。一旦、図形にしてしまえば、かんたんに変形できるということですね。
さて、文字の変換だけではスペース余るので、某ベンチャーの社長が突然つぶやいた2Bをその日のうちに本人にリプライしてしまうと描きました。
① ラフを描きます。まぁ適当に
#PowerPointアートの描き方 14 あたりを取ります。さすが2B、すでにこの時点で異次元のパーツ数 pic.twitter.com/2KVj1NyNl5
— トクロンティヌス (@jyouhou_syusyu) June 16, 2019
② 頭部の詳細を描いていきます
#PowerPointアートの描き方 15 頭の部分の細部を書き足します。色はあとで微調整するので適当に。何となく2Bになってきたかな pic.twitter.com/dinEw7Kive
— トクロンティヌス (@jyouhou_syusyu) June 16, 2019
#PowerPointアートの描き方 16 頭部がだいたい描けたので、次回は身体を描いていきます。今日はここまで pic.twitter.com/DvrVygQ26N
— トクロンティヌス (@jyouhou_syusyu) June 16, 2019
③ 上半身完成
#PowerPointアートの描き方 17 2B完成。ほんとは身体の方も書いてあったけどとりあえずここまでで完成です(もうPowerPointが落ちるので) pic.twitter.com/ihaUAir31C
— トクロンティヌス (@jyouhou_syusyu) June 17, 2019
で、最終的にはこうなります。
それでは、また! トクロンでした。
小説を書いています! よろしければfollowお願いします
とんがり帽子のアトリエをPowerPointで再現する
すっかり当初の目的を見失い、手段のために目的を選ばないトクロンティヌスとなっておりますが、過去絵をもう一つブログにも貼っておきます。
とんがり帽子のアトリエをPowerPointで再現する
実は描き始めるまでは、「とんがり帽子のアトリエ」しらなかったんですが、PowerPoint絵を描くために本を買って読んで、ドはまりしました。おすすめです
いつも通り、下書きから描いていきます。線の多い絵なので、すでに大変。PowerPoint絵は「線を曲線ツールで作っている」ので、一筆がすでに二・三画いるんですよ。
だいぶそれっぽく見えてきた。あともう少し pic.twitter.com/gjS52ZbJvw
— トクロンティヌス/Promesita venko ĉevalo (@jyouhou_syusyu) November 11, 2018
元々原作の色も原色にちかい濃いいろなので、PowerPoint絵には向いてる感じがしますね。PowerPoint絵、淡い色苦手なので。
完成しました! #とんがり帽子のアトリエ を #PowerPoint で再現する pic.twitter.com/5lNzBvSaY3
— トクロンティヌス/Promesita venko ĉevalo (@jyouhou_syusyu) November 23, 2018
完成です!
PowerPoint絵はまた不定期に上げます
研究者小説を書いています
③ ゲノムハンティング:近未来SF短編。ゲノム編集で遺伝子強化することが当たり前になった時代の話
④ 誰が古藤教授を殺したのか?:さえない准教授が元恋人の優秀な教授と一緒に、恩師の仕組んだ事件に巻き込まれていく話。めざせ森博嗣。
PowerPointアートの描き方
『海獣の子供』大ヒットらしいですね!
・・・見たい・・・しかしアメリカだし・・・ということで、絵でも描くか! PowerPointで!!*1
曲線ツールで「線を作る」という技法で絵を描いています
twitterでライブドローイングしました
#PowerPointアートの描き方 ① 曲線ツールを使って、下書きしていきます。今日は #海獣の子供 を描きます。ラフにどんどん描きます。続きは明日 pic.twitter.com/e3UAQLVuZG
— トクロンティヌス/Promesita venko ĉevalo (@jyouhou_syusyu) June 6, 2019
#PowerPointアートの描き方 ③ キャラの下書きほぼ完成です。これだけで、 #海獣の子供 のワンカットっぽくできますね(2枚目)。3枚目は現在のパーツ数です pic.twitter.com/cn2vhOMZMf
— トクロンティヌス/Promesita venko ĉevalo (@jyouhou_syusyu) June 6, 2019
#PowerPointアートの描き方 ④ それでは今日は背景を描いていきます。魚の下書きをぱぱっと。大きさこのくらいですかね。背景なので、それほど描きこみません #海獣の子供 pic.twitter.com/YKVdpsY5s6
— トクロンティヌス/Promesita venko ĉevalo (@jyouhou_syusyu) June 7, 2019
#PowerPointアートの描き方 ⑤ 魚はあとでエフェクトかけるので、とりあえずざっと色を塗りました。次は水槽の色を塗ります pic.twitter.com/UFcuv9i8CG
— トクロンティヌス/Promesita venko ĉevalo (@jyouhou_syusyu) June 7, 2019
#PowerPointアートの描き方 ⑦ 完成。かなりブランクあったので、リハビリにはちょうどいい長さの作業でした #海獣の子供 pic.twitter.com/uuKXWR3pLm
— トクロンティヌス/Promesita venko ĉevalo (@jyouhou_syusyu) June 7, 2019
完成。仕事終わった後の時間つかって二日間くらいの作業量です。
没になった水槽背景のやつ
しましょさんからのコメント:
トクロン先生の #PowerPointアートの描き方 、YouTubeで流せば再生数すごくなりそう。
— しましょ(島田祥輔) (@shimasho) June 7, 2019
ちょっと今仕事がかなり忙しいので、落ち着いたら考えます!
研究者小説書いてます。
①魔法の世界での魔法研究者の日常小説:
②教授に解雇されたポスドクたちが会社を起業する小説:
*1:PowePoint2013で
心のなかに関西弁先輩を持て
どうも、トクロンティヌスです。だいぶ(※1)間が空きましたが、何とか生きています。
twitterの方ではすでに明らかにしているのですが、2019年4月よりアメリカ・フロリダ州の研究機関(※2)で働いています。
いやーまさかtwitter就活(※3)で海外に来ることになるとは思ってもませんでした。日本で転職活動失敗しまくっていたので、本当にありがたいです。
オファーあってから、書類のやり取りや米国ビザの取得、職場の英語試験などもろもろで半年以上かかって、その後で2週間の超短期訪問をしてから、2019年4月の仕事開始を迎えました。
1.オファーまで
声かけていただいてから、英語CV送って、すぐにSkypeで面談でした。その後、一度お会いして、再度、今度は人事の方と面談。人事との面談は英語の試験兼ねてて、僕は2ヵ月ほどかかることに。。。
何にせよ、英語は勉強しとけということです(5年前くらいの自分に向けて)。
2.ビザ取得まで
ビザ取得の代行とか、ブログ記事はいっぱいあるんですけど、結局一番役に立ったのは米国政府の「米国ビザインフォメーションサービス」の動画ですね。これをまず一番に読んだり、見たりしないといけないし、それ以外のブログ記事とかは参考程度で十分だった気がします。
米国ビザインフォメーションサービス
面接の質問は2つだけで、主に仕事内容についてと、報酬のソースだけでした。追加書類も特に要求されなかったし、預金証明も持って行ったけど必要なかったです(※あくまで僕の場合はです)。
3.超短期訪問から渡航まで
海外経験まったくなかったので、本格渡航までに一度短期訪問をしょうと、医学系の財団法人の海外短期訪問助成金を2つ取得して、2週間ほど現在の職場を訪問しました。この時に、「あ、英語本格的にヤバいかも」と思ったんだけど、やるしかないと腹をくくることに。
そこからは急いでクレジットカードの申し込みをしたり、不要物品家具の処分をしたり、研究室の引き払いをすすめたり・・・忙しかったです。
クレジットカードに関しては、ANA USAカードだと日本にいる間に申請できるし、会社に入ってからすぐに届くので、結局これが一番良かったっぽい。
ANA USAカード
アメリカ駐在の方へおすすめ。アメリカのクレジットカード - ANA CARD U.S.A.
ANA USAカードが届くまでの約2週間は、新生銀行のGAICAカードで暮らしてました。これはプリペイドなので、日本で入金しておいた分だけ使えるし、今でもちょっとクレカ使いたくないなと思った支払いの時に使ってます。審査ないし、新生銀行の口座もってるとすぐ作れるので、これはおすすめです。
プリペイドカードGAICA
プリペイドカード GAICA | アプラス 新生銀行グループ
入国後にマリオットとかヒルトンの「ちょ、何ポイント、サービスで配る気だよ!?」ってカード作ってもいい気もしますけど、そこまで不便は感じてないんだよね。
4.渡航
圧倒的家計の予算不足だったので、家は会社(の提携している大学の)ドミトリーにして、飛行機のチケットは、格安路線・日程を使ったせいで、ポートランド空港で12時間滞在、アトランタ空港で一泊という辛いものだったうえ、ウエストパームビーチ空港でロストバッゲージという・・・なかなか大変な渡航となりました。
で、表題の件なんですが、
心のなかに関西弁先輩をもて
海外で働くことを決めたあたりから、自問自答することが多くなったのですが、その時に自分を客観的に見る相手役として、『関西弁先輩』を設定してました。
・・・別に九州弁でもなんでもいいんですけど、普段、自分が使わない言葉の第三者を設定しておくのが良い気がします。
「いまさら留学って、何の役に立つん? そもそも出来るん?」
―「いや、日本に仕事なかったじゃないですか、先輩」
「英語できないやん。そんなんで暮らしていけるん?」
―「暮らすだけなら、近くのPublix (※4)で何とかなりそうです」
「そんなんで研究できんやろー」
―「日本にいても職なくて出来なかったので、むしろ出来るようになったのでは?」
これが最善な方法だとはけして思わないんですけど、暇な時間があると人間って不安な方のことを考えてしまう生き物だと思うんですよね。その「暇な時間」を自分の趣味や友達との会話で埋めれる人はいいんですけど、金、時間、置かれた環境によってそれができない人っていると思うのです。僕がそうです。
なので、自問自答というか自分の頭の中を不安な方にしないように、第三者視点から辛口コメントしてくれる相手を設定しておいて、そこに反論するようにして自分の意見がかろうじて保ててた・・・ような気がします。何しろ、家族もおらず単身でのアメリカ移住だったので。
とりとめもない感じなりましたが、ブログ再開して、いろいろつぶやきます! それではまた。
研究者小説書いてます。
①魔法の世界での魔法研究者の日常小説:
②教授に解雇されたポスドクたちが会社を起業する小説:
※
1. 2年ほど
2. 職場のSNSのルールだと公開するだけなら良い気がしますが、念のためクローズのままで
3. twitterで転職探す活動
4. フロリダの地元密着型スーパー。余談だけどグロウスリーストアじゃなくて、スーパーで通じたぞ??英語の授業なんやったんや
Publix Super Markets
映画『関ケ原』みてきました
映画『関ケ原』を観に行ってきました。
動機としては、①歴史好き、②時間が少し空いた、と積極的なものではなかったので、それを前提に以下の文章を読んでいただけると助かります。
Summary: 島左近と小早川秀秋がとても良かった
映画『関ヶ原』がとても、とても良かった。石田三成がちゃんと嫌われ者として描かれていて、(初芽との淡い恋のようなものはあるものの)岡田君をジャニーズとして扱っていないのが良い。しかし、何と言ってもこの映画は島左近と小早川秀秋の話なんだと思えるほど、二人が良かった #関ヶ原
— トクロンティヌス (@jyouhou_syusyu) 2017年8月31日
細かいところを上げるなら、初芽については色々注文もあるが、薩摩勢に関しては、行動、鹿児島弁も完璧であっただけに、このスタッフで島津義弘の話が見たいと思った。しかしながら、やはり石田三成、島左近、小早川秀秋、徳川家康、そして前半しか出てこない豊臣秀吉が凄く良かった #関ヶ原
— トクロンティヌス (@jyouhou_syusyu) 2017年8月31日
主役である石田三成(岡田准一)は勿論のこと、島左近(平岳大)の存在感が非常によかったです。石田三成が、他の大名からちゃんと疎まれている描写もあって、単なる英雄劇になってないところもいい。
そして何よりも、小早川秀秋(東出昌大)の中盤から終盤の演技がとても良かった! 一般的な話では裏切り者としてしか語られていない小早川秀秋が、こんなにも人間として描かれている物語はちょっと記憶にないです。とても、とても良い。
逆に、一般的に人気のある島津義弘や直江兼続が端役として、特に目立った印象もなく書かれている物語も、この映画だけのような気もします。そして、直江兼続の立ち振る舞いは、うーんと思うところありました。
なので、この話は島左近と小早川秀秋からの視点だったんじゃないかと思うくらいに二人の存在感は面白く見れました。
① 石田三成の話だったのか?
石田三成が、冒頭の秀吉との出会いのシーンから、最後は六条河原のシーンまでの間、ずっと出続けているので、『主人公としての石田三成』は疑いようがないんですけど、じゃぁあくまで一個人としての僕が、「この映画を石田三成のヒーローズジャーニーとして見れたかどうか」で言うと、答えは「No」です。
C.ボグラーとD.マッケナが著書(※)で言っているように、物語の登場人物には『求めるもの』があって、その求めるものを手に入れようとして、あるいはその求めるものそのものによって、行動が左右されていく・・・・・・という考え方が、僕は好きです。
例えば、広い場所では天敵の鷹や猛禽類が襲ってくるかもしれないという不安から(この場合の求めるものは、身の安全)、マウスが四角い箱の隅っこに常にいるように。
しかし、この映画の石田三成に最後のシーンでああなってしまうほどの、強く『求めるもの』はあったでしょうか?
中盤から出てくる「大一大万大吉」や「正義」がそれなんでしょうけど、三成がそれについて、自身の行動規範となるまでの、条件付けされるほどの強い体験が語られていないため(あるいは希薄なため)、逆に前半で三成との会話のなかで『新しい世界』の可能性を見出して、変化していく島左近や小早川秀秋の方がヒーローとして成立しているように感じます。
監督は、たぶん島左近か小早川秀秋の話として書いていたんだよな。きっと(それっぽいことは公式サイトでもちらっと書いているけど)。
※
② 二軸の対立として成立していたか?
徳川家康と石田三成の、「野望」と「正義」の二軸の対立として成立していたかというと、上記のように三成側の動機付けが弱いので、そこまでははっきりと対立しているように見えない。
それでも僕のような歴史好きは、予備知識として「石田三成」や「徳川家康」、それに「関ヶ原の合戦」を知っているので、対立しているように見えなくもなかったのだけど、これが予備知識ゼロの外国籍の人だったらどうなんだろうか?
サムライが派手に切り合いをしたり、ニンジャまで出てくるのだから、見目はとても日本らしいアクション映画に見れるかもしれない。
しかし、映画を見終わった後で、『じゃぁ、何で家康と三成は戦いを起こしたんだい?』と尋ねても、答えはなかなか返ってこないような気もする。
僕が紀元前480年のスパルタ王レオニダスやテルモピュライの戦いを、予備知識としてまったく知らなくても『300』を映画として楽しめたのと比べると、その差ははっきりとしていて、やはりアクション映画であっても、登場人物の「求めるもの」を丁寧に語る必要があるんじゃないかと思う。
③ それでも良い映画だと思える理由
原作者が小説を書くための話をナレーションしているところは省いても良かったのでは・・・と途中まで思っていたが、あのナレーションがないとオープニングの秀吉との出会いのシーンで開けた世界が、最後の六条河原で閉じることが出来ないのではないかと後で考察できる。計算された映画だった #関ヶ原
— トクロンティヌス (@jyouhou_syusyu) 2017年8月31日
六条河原で石田三成の柿の逸話をあえて省いていたのが、その最たるもので、省いていて良かった。柿のエピソードはこの映画には蛇足にしかならないと思う。終わり方もとても良かった。唯一、残念だったのは、映画館の中がガラガラだったことくらいだ。 #関ヶ原
— トクロンティヌス (@jyouhou_syusyu) 2017年8月31日
このtweetがすべてで、登場人物たちの動機付けなどはうーんと唸るところもあったのだけど、冒頭の秀吉の鷹狩の休憩で開けた世界と、最後の六条河原のシーンの対比が『関ケ原』という物語を通して変化したものとして見せることが計算されていて、物語としての完成度は非常に高いと思っている。
僕のような三流物書きであれば、石田三成の逸話として有名な『柿』の話を引き合いに出して、石田三成が最後まで信念を突き通したという結末を見せたかもしれない。
でも、寺の一小僧だった三成が、こまっしゃくれた手を使い、そこで権力者である豊臣秀吉の目にかかり、暴君・秀吉とともに歩んだことで作られた石田三成の世界が、最後に六条河原で閉じるシーンは、確かにあのシーンで良かった――というより、あの終わり方が最適解なのだと思った(※2)。
一度語り始めた一つの世界を、きちんとした形で二時間半で終わらせる、とてもいい映画だったと思います。
・・・・・・ところで、エヴァンゲリオンのラストシーンはまだですかね? 特論でした。
小説を書いています。よろしければ
おまけ: この映画で最も成功したのは、やはりまたひらパーだった
※2 そして、初芽に関しては映画会社がよくぞぐっと耐えてくれたラストシーンとして、シンゴジラ以来のものなのではないか